確かに流暢に商品の説明をし、お客さんが投げかけた質問にすべて完璧に答えるのもいいことです。でも、「さあ、これで問題はクリアされたでしょう?もう買うしかないですよね」って感じで、お客さんを袋小路に追い詰めて断れなくさせているだけなら、きっと相手は不快感でいっぱいです。いい商品だなと思ったとしても、「この人からは買いたくないない!」と思われるはず。

「なんか、断れない感じ、押し切られそうな感じ」が大きな不安となり、その不安が「この人からは買いたくない」という心理につながるのです。

 だから「お客さんと同じ目線でものを見ることができ、考えることができる、より人間的で、より共感できる営業マン」はよく売ることができます。もちろん彼らが営業成績で上位になることや、コミッションを上げて収入を増やす目的があるからですが、それ以上にお客さんから感謝されることが原動力になっていることが多いのです。だから楽しんで営業している、楽しいから売れる。売れると収入も増える。

 そうすれば、また売った側の営業もお客さんに感謝します。みんなが幸せになれるから心から感謝できる。「○○さんのおかげ」だと。

 こうやってめぐりめぐる感謝の輪の中で働ける営業マンは強いし、よく売るのです。簡単なことなんです。お客さんも自分も幸せな気分になれるにはどうすればいいのか?ということを考えれば、売れる方法はすでに自分の手の中にあるのです。

営業は誰もが無意識にやっている

営業という仕事は、特殊な才能や能力のある一部の人だけの仕事ではありません。本当に営業という仕事は誰にでもできるのです。なぜって、誰もが自然にやっているからです。相手を喜ばせたり、相手に決断させたり、またはお願いしてみたりとね。

「ねえねえ、お母さん。お母さんの作るカレーはどこで食べるものよりもおいしいね。また作ってね」
 と誉めたり、
「ねぇ、今やっている映画の○○ってすっごい感動!絶対見なきゃ損するよ!」
 と決断させたり。みなさん、生まれながらにして、いつでもやっていることそのものが営業なんです。

 えっ?
「そんなに難しくなさそう」だって?

 そうなんです。売ることばかり考えないで、もっと自然に「いいものを伝えたい気持ち」を大切にしてほしいのです。とっておきの自分の”いいもの発見”を誰かに言いたくてわくわくするような感じです。