彼女「いつまでというより3年以内、いえ、この2年以内には行かないと年齢的にも遅いです」
私「だったら夢、目的にしませんか……?無理にではないですが……」
彼女「そうですね。夢、目的にします。私、今日契約したいです。印鑑とかいるのですか?」
私「えっ?きょ、今日?いいんですか?」
彼女「和田さん、ありがとうございます。和田さんに会ってなかったら、ずっと夢のままで終わっていたかもしれないです。結局は海外に行くことができなくても、英語やってよかったと思えると思います。あのとき声かけてくれてありがとう!」
私「そ、そんな、今からだめだったらなんて考えないでよ……それにまだ感謝しないでよ……。話せるようになってからにしてよ……」
それが契約第1号・麻生さんの話。
私は彼女の「きっかけ」になりました。
それからは電話営業も怖くなくなりました。きっと私の電話が嫌な人もいるだろうけれど、そのときはすぐに謝ればいい。
でも、この電話が何かのきっかけになれるかもしれないから、そういうきっかけを待っている人と出会える方法に過ぎないのだ、と思えるようになったのです。
だから、彼女もまた、私のきっかけになりました。
営業という仕事を好きになるきっかけに。
「よっしゃ。もっとがんばろう」と思えるきっかけに。
私はマニュアルにあった「このスクールは限定会員しか受講できません。何人でも入会できるわけではないのです。今月もあと3人くらいで定員なので、今度来られても入会できないかもしれません」というちょっと“あおり”のトークを使いませんでした。だってそれは嘘だから。今日までのキャンペーンとか、あと1個しかないとか、そうやって嘘をつかなくても即決でYESがとれたという事実は、私にとって“嘘のない気持ちのよい営業”というスタンスをつくるきっかけにもなったのです。
その後の彼女はどうなったか気になりますか?
彼女はその後、本当に短期間ですが、海外に行きました。あいにくダンスは途中でやめてしまったけれど……。英語を使う仕事に就いたのはその日から3年後でした。