2022年は「値上げの年」となりそうだ。電気・ガス料金が上がり、身近な食品も価格改定や容量の見直し(値段は据え置きだが、中身を減らす実質値上げ)を、メーカーが次々と発表した。こうした分かりやすい値上げ以外にも、我々の生活コストに影響を及ぼしそうなものがある。変動価格制いわゆるダイナミック・プライシングだ。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
忍び寄る変動価格制、高速代も通勤の電車代も…?
ダイナミック・プライシングとは、同じサービス・商品でも、利用者の多い期間・時間帯は料金を高くし、そうでない時期は安くするという、価格戦略を言う。価格差をつけることで利用者の集中を減らし、利益を平準化する狙いがある。また、コロナ禍では、特定の時間帯の利用者を減らす目的で導入されることもある。
思い出すのは、東京オリンピック・パラリンピックの大会期間中の首都高速料金だ。昼間など繁忙時間帯(6時~22時)は1000円上乗せされ、深夜~未明(0時~4時)は5割引きとなった。本来の目的は、競技を見に来る人たちの移動で道路が混雑しないための措置のはずだったが、無観客と決まったにもかかわらず、強引に実施されたのはご存じの通り。
そもそもいきなり1000円の上乗せとはずいぶん乱暴だが、当時の首都高はさすがにスムーズに流れた。2000円を気にせず払えるお金持ちは高速を使えるが、庶民はその時間を避けるしかない。こうした変動価格制の波が、ひたひたと忍び寄っている。
この変動料金を、都市部の鉄道料金にも導入しようという動きがある。