事業承継に「中継ぎ経営者」のススメ、求められる人物像は?Photo:PIXTA

廃業でもM&Aでもない
「第三の選択肢」

「後継者が見つからなければ、廃業するかM&Aで売却するしかない」と考えている事業者は多いと思われる。取引のある金融機関としても、廃業するくらいならM&Aを勧めるのが通例だろう。しかし、廃業でも売却でもない「第三の選択肢」がある。それは、外部の経営者に当面の中継ぎを任せ、家業を手放す決断を将来に託すことだ。高齢の現経営者の子ども世代に後継者が見つからなくても、その次の世代、つまり当代の孫の代に後継者が現れるかもしれない。実際に、そのようにして事業が継続(もしくは休眠状態から再始動)している家業も少数ながら存在する。もし現れなければ、そのときに事業を完全に譲渡すればよい。意思決定の期限を十年単位で先延ばしできる仕組みである。