コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は三菱地所、三井不動産などの「不動産」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
不動産5社中4社が増収
三井不動産は4割超の大幅増
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の不動産業界5社。対象期間は21年7~9月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・三菱地所
増収率:0.7%(四半期の営業収益2716億円)
・三井不動産
増収率:40.4%(四半期の売上高5482億円)
・住友不動産
増収率:15.8%(四半期の売上高2306億円)
・野村不動産ホールディングス
増収率:26.5%(四半期の売上高1106億円)
・東急不動産ホールディングス
増収率:マイナス3.9%(四半期の売上高2245億円)
※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
不動産業界の5社は4社が前年同期比増収、東急不動産ホールディングスが減収だった。三井不動産、住友不動産、野村不動産ホールディングスは前年同期比で2桁増収、特に三井不動産は前年同期比4割超の大幅増収となっている。この要因は何だったのか。
次ページで詳しく解説するとともに、各社の増収率の推移も併せて紹介する。