次世代の仮想空間である「メタバース」が注目を集めている。インターネットを使いこなせる人や企業と、そうではない経済主体の差が広がる「インターネット・デバイデッド」、あるいは「デジタル格差」と呼ばれる状況が出現したように、メタバース市場に参入できる企業と、それが難しい企業の差が鮮明になる「メタバース・デバイデッド」社会が、近く到来するだろう。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
メタバースに対応する力の有無が
各国企業の成長に影響を与える
最近、世界的に次世代の仮想空間である「メタバース」が注目を集めている。最大の理由は、メタバースが世界各国の企業に多くの、新しいビジネスチャンスをもたらし、人々の生き方を大きく変える可能性を持つからだ。
まず、メタバースがどのようなコンセプトかをしっかりと理解することが重要だ。メタバースによって、現実世界は限りなくリアルに近い形で、あるいはよりダイナミックにデジタル空間に再現されるようになるだろう。メタバース関連技術が支えるデジタル空間では、人々が「アバター」として活動する。それが集中した議論や新しい発想の創出など、経済運営の効率性向上につながるとの期待が高まっている。
その結果として、メタバースに対応する力の有無が、各国企業の成長に決定的な影響を与えるだろう。メタバースに対応できる企業は、中長期的に成長する可能性が高い。その一方で、過去の成功体験に固執して対応が遅れると、企業が淘汰される可能性は高まる。わが国の企業や個人は、メタバースを支える技術や理論に習熟し、それを発揮することによって、より多くの成長機会を目指すべき時を迎えている。