「ちっともお金が貯まらない」「ちゃんとしたいのに何もしていない」と悩んでいる人は、じつは「お金と向き合う重要性をわかっている人」だと言います。こう語るのは話題の新刊書『そのままやるだけ!お金超入門』を書いたマネーコンサルタントの頼藤太希さん。「忙しくて忘れてしまう」「しくみを勉強しても何をやればいいのかわからないので、やらずじまい」なだけだというのです。そんなマネー初心者のために、「そのままやればいい」頼藤さんのアドバイスをお贈りします。今回は『はじめてのお金の基本』(成美堂出版)からも抜粋します。

節税できるPhoto: Adobe Stock

所得控除は、15種類もある

 所得控除は、所得税額を計算するときに、本人や家族の状況、災害や病気といった個別の事情を税額に反映させるための制度です。

 所得控除は15種類あります。これらの所得控除に当てはまる場合は、課税所得から各所得控除の金額を差し引くことができます。そうして残った課税所得に税率をかけ、所得税額が計算されます。所得控除が多いほど課税所得も少なくなり、税額も減ります。

 ただ、税務署は「あなたは○○控除が利用できます」などとわざわざ教えてはくれません。ですから、税金を安くしたいのであれば、自分で調べて手続きをする必要があります。

はじめてのお金の基本『はじめてのお金の基本』より

 小規模企業共済等掛金控除はiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の掛金が該当します。

 iDeCoは、公的年金の不足を個人の努力でカバーしてもらうために用意された制度。毎月一定の掛金を支払って自分で運用し、資産を増やします。そして、運用の結果を60歳以降に受け取れます。

 iDeCoの最大の魅力は、他の制度にはない圧倒的な節税効果にあります。積み立てをしながら税金が安くでき、得られた利益にかかる税金もゼロにでき、受け取るときにも非課税の恩恵を受けられます。

iDeCoはなぜお得か『そのままやるだけ!お金超入門』より

 所得控除のうち、医療費控除・寄附金控除・雑損控除は確定申告が必要です。そのほかは年末調整でOKです。

 なお、「医療費が年間10万円もかかっていない」という方は、「セルフメディケーション税制」を利用すると、税金を取り戻せる可能性があります。

 セルフメディケーション税制の別名は「スイッチOTC薬の所得控除」。スイッチOTCとは、従来は医師の処方箋が必要だった医療用医薬品を、薬局で購入できるように一般用医薬品に転用したものです。ドラッグストアなどで購入でき、病院に通わないでも、市販薬を買うことで医療費に関する税金を安くできます。

 セルフメディケーション税制を利用できる人は、次の条件を満たす人です。

・所得税や住民税を納めている人
・ 対象となるOTC医薬品の年間購入金額が自分と扶養家族(生計を一にする家族)の分を合わせて1万2000円を超えた人(上記は控除8万8000円まで)
・ 特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診など、検診や予防接種のいずれかを行っており、病気の予防や健康増進に取り組んでいる人

 なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できませんので、控除額が大きいほうを選ぶとよいでしょう。