「100年に一度の不況」といわれる昨今、居酒屋チェーンが低価格を切り口とした業態展開を進めている。消費者の低価格志向も強まりをみせているようだ。そんななか、新たな低価格のアピールとしてすべてのメニューが500円の「ワンコイン居酒屋」や300円の「スリーコイン居酒屋」など、客単価を2000円前後に設定した低価格居酒屋が登場。外食産業の低価格志向が、はたして集客のカギとなるのだろうか。(取材・文/プレスラボ 吉住夏樹)

「低価&均一価格」は不況知らず!?
全品280円の居酒屋が東京へ続々上陸

 最近、「低価格居酒屋」がかつてなく盛り上がっているのを、ご存知だろうか?

 先月、東京四谷に“全品300円”を掲げた「中華居酒屋 三百宴(さんびゃくえん)」(スリーハンドレッド)や、全品299~300円のチェーン店「熱烈酒場 金の蔵Jr.」(三光マーケティング・都内などを中心に展開し、一部低価格でない店舗もある)などの格安居酒屋がオープンし、話題を呼んでいる。

 不況で客足が減り続ける居酒屋市場では、大手居酒屋チェーンでさえ、厳しい再編淘汰の波に晒されている。そんな大手の“隙間”を狙って、「均一の低価格」を打ち出す居酒屋チェーン店が続々と登場しているのだ。

 特に注目を集めているのが、2005年に関東へ進出した「イターナルサービス」(大阪市)が展開する280円均一の居酒屋チェーン店「じゃんぼ焼鳥 鳥貴族」である。

 同店のメインは、国産の鶏とオリジナルのタレを使った焼き鳥メニュー。客単価は2100円に設定されており、これは「居酒屋でギリギリの価格」だと言われる。

 「鳥貴族」は、1985年に大阪府東大阪市の近鉄俊徳道駅に直営1号店をオープン。以来、大阪を中心に直営店やフランチャイズ店を展開して来た。

 関東に進出したのは2005年のことで、東京都中野区にオープンしたのを皮切りに、その後JR中央線を中心に高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪など都内におよそ24店舗を展開している。