第4位「多額の現金をお持ちで、息子さんやお孫さんとお待ち合わせのお客さま!! 伝言がございます。駅の事務室へお越しいただき、駅係員にお声掛けください」

今年1番の名言は?「伝え方グランプリ2021」ベスト10

あの手この手の巧妙な手口。被害は年間で、なんと数百億にものぼるそう。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺です。そんな被害の現場で、ことし、多くの人を救う伝え方が!

「多額の現金をお持ちで、息子さんやお孫さんとお待ち合わせのお客さま!! 伝言がございます。駅の事務室へお越しいただき、駅係員にお声掛けください!」

このメッセージがはられたのは、京急電鉄の北品川駅です。「詐欺」の文字はどこにも見当たりませんが、それこそがミソ。

どういうことかというと、「自分がだまされるはずはない」と思っている人にストレートに「それ、詐欺だよ!」と伝えても、「他人が口をはさまないで」と相手にしてもらえないでしょう。

でも、「あなたに伝言がある」といわれれば、みずから窓口を訪ねたくなるのです。

特にすばらしいのは、「どうすれば伝わるか」を考え、まず、お客さんの頭のなかを想像したうえで、それにぴったりのコトバを作っているということ。

じつは、この駅、新型コロナの影響で係員がいる窓口の一部を閉めたので、お客さんと接する機会が減り気味だったとか。

係員が「そんな状況でも、なんとか対策をとれないか」と頭をなやませた結果、うみだされた伝え方だったのです。これぞ、人を救うコトバだと思います

第3位「(国民栄誉賞は)まだ早い」

今年1番の名言は?「伝え方グランプリ2021」ベスト10

さて、ここからはいよいよ、上位3位のコトバをご紹介します。

ことし、スポーツ界をもっともにぎわせた一人は、まちがいなくこの人でしょう。大谷翔平選手です。

彼の活躍はアメリカでも絶賛され、“表彰ラッシュ”がとまりませんでした。アメリカ大リーグのMVP(最優秀選手)、史上最年少でのコミッショナー特別表彰、シルバースラッガー賞などなど、すべて書き出せば紙幅が足りなくなってしまうほどです。

そして、日本政府からも「国民栄誉賞をおくりたい」と打診されることに。しかし、大谷選手は丁重に断り、こう語ったのでした。

「まだ早い」

かれは今季をふりかえり、「(来季は)もっともっと高いレベルで数字が残る」と宣言しています。

まだまだ、やれる。

このコトバには、自分のポテンシャルを信じる力強い気持ちがこめられているに違いありません。

一般人にはなかなか真似できないコトバですが、一方で、「自分も、できることを一生懸命がんばろう」と刺激を受けた人がきっと、たくさんいたことでしょう。

第2位「宝塚の舞台に立っている瞬間は夢を見ていた」

今年1番の名言は?「伝え方グランプリ2021」ベスト10

つづいて、2位に選ばれたのは、今年、宝塚をご卒業された無類の大スター、珠城りょうさんの、このコトバ。

「宝塚の舞台に立っている瞬間は夢を見ていた」

一般投票をつのった各チャネルのうち、Twitterでは、ダントツの1位に輝きました。

珠城さんは、近年では天海祐希さんの次に早く、トップの座に。その後、およそ5年間、宝塚の月組を引っぱってきました。

「初めは大きく感じた羽も、組のみんなの思いが1本1本の羽になり、ファンのみんなの思いが温かい風を起こし、私は今、軽やかに羽ばたいています」

珠城さんはこんなコトバとともに、さわやかに、軽やかに旅立ち、新たな人生を歩み始めました。

夢は、はかなく消えやすい。そんなコトバもありますが、珠城さんの場合は、きっと違うと思います。夢に向かって全力で走ってきた珠城さんの熱い姿が、ファンや後輩の胸に「思い出」として光をはなちつづけるかぎり、珠城さんのステキな姿はまるで空に立ち上がる炎のごとく、ずっと消えないだろうと思います。そんな「夢の世界」にいざなってくれる魅力的なコトバでした。