第7位「(以前は)勝って当たり前でした。それを失って初めて、勝つことの意味をちゃんと感じられるようになりました」
今年2月。白血病とたたかう池江璃花子選手がプールに復帰し、まだ1年もたたないうちの快挙でした。
バタフライ50メートルで、プールに戻ってから初の1位にかがやいたのです。しかも、2位以下に圧倒的な差をつけてのゴールでした。
このレースのあと、池江選手が語ったコトバです。
「(以前は)勝って当たり前でした。それを失って初めて、勝つことの意味をちゃんと感じられるようになりました」
ただ単に喜びを伝えるだけでなく、勝負と真正面からむきあう真剣な気持ちが、端々にこめられたコトバです。
ブランクをへた昨年の夏、池江選手は泣きながら「第2の水泳人生の始まりかな」というコトバを残しました。そんな第2の人生でむかえた“初V”。
病気とたたかう人や、なにかに挫折した人、そしてコロナ禍で心配な気持ちをかかえる多くの人びとにとって、明るい希望を与えたにちがいない、そんな伝え方が7位につきました
第6位「靴を綺麗にすることも大切、自分を支えるものを大事にしたら自分も大事にされるようになる」
6位は、ツイッターで話題をよんだコトバです。
子どものころ、学校ぎらいだった投稿者さん。夏休みが明けたある日、おじいちゃんに「学校、いきたくない」と、つぶやきました。すると、おじいちゃんはあたらしい銀色の靴をかってきてくれたそうです。
それをはくと、自然と「学校にいきたい」と思うようになったとか。そのとき、おじいちゃんが投稿者さんにかけたコトバがこちらです。
「靴を綺麗にすることも大切、自分を支えるものを大事にしたら自分も大事にされるようになる」
おそらく、人生の酸いも甘いも経験したおじいちゃん。そこからつむぎだされた人生訓がひと言につまった、繊細で深みのある伝え方です。
人生の大切な場面で、いつでも振り返りたい、ステキなコトバです
第5位「野球を好きなまま終われてよかった」
ことし、西武の松坂大輔選手が、プロ野球を引退しました。
松坂選手といえば、イチローから3打席つづけて三振をうばったり、“史上もっとも大型”と言われる契約をレッドソックスと結んだり。「平成の怪物」の異名もうなずける、おどろくべき記録を歴史にたくさん残しました。
プロとして活躍した年月は、じつに23年間。最後は、盛大な拍手に見おくられ、グラウンドを去りました。
「野球を好きなまま終われてよかった」
引退会見でかれが残したコトバです。「時代のおわり」をむかえたようなさみしさと、彼のプレーの、あの「わくわく感」が同時にこみ上げてくる伝え方。長い間、本当におつかれさまでした