首都圏地盤の食品スーパー・オーケーは、関西地盤の「関西スーパーマーケット」を巡り、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と争奪戦を繰り広げた末、敗北した。それでも、自力で関西進出すれば“勝算”はある。その理由とは。(流通ジャーナリスト 森山真二)
関西進出は一筋縄ではいかない
オーケーが関西スーパー争奪戦で敗北
オーケーの関西進出に勝算あり――。
「地方発祥」の小売り企業が、関東で成功する例は少なくない。流通の巨人・イオンは三重県、ユニクロを展開するファーストリテイリングは山口県が発祥だ。
関東は地方発祥の流通企業の受け皿となっており、人の多い関東で成功すれば、全国どこでも通用するともいわれる。
ドラッグストアを全国に展開するツルハホールディングスの鶴羽樹会長が、北海道から関東に進出したばかりの頃、「どこに店を作っても、お客が入るという錯覚を覚えた」と語ったくらい、店を出せばお客が来てくれると信じて疑わなかったという。これが「関東の魔力であり魅力」だ。
しかし、反対に、関東地盤の企業が関西で成功することは容易ではない。文化の違い、あるいはマーケットが小さいなど、さまざまな理由が挙げられる。
ある関西圏の流通関係者は、「関西は独自の文化を持っている。関東の“よそ者”が商売をするのを好まない」とも語る。事実かどうかは別として、そうした先入観が関西人の一部の間にあるのだろう。
今、関西進出をもくろみ注目されるのが、首都圏地盤の食品スーパー「オーケー」。オーケーは、関西地盤の「関西スーパーマーケット」を巡り、エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と争奪戦を繰り広げた。
10月29日に開かれた関西スーパーマーケットの臨時株主総会で、H2Oと経営統合する議案が承認されたことで、オーケーは関西スーパー争奪戦で“敗北”した。
だが、オーケーは、関西進出を諦めたわけではないし、進出すれば勝算はあるのだ――。