明治大“付属校”の衝撃
中高一貫男子校の日本学園中学校・高等学校(東京・世田谷区)は、明治大学と系列校化基本合意書を締結した。2026年から明治大学の系列校となり、共学化、校名も明治大学付属世田谷中学校・高等学校とする。明治大にとっては実にほぼ半世紀ぶりの系列校となる。明治大の文系学部1・2年生が通う和泉キャンパスとは同じ最寄り駅ということもあり、相互理解と地域貢献を目的とする高大連携事業協定を12年3月にすでに締結していた。ただ、目指すところがあいまいで効果も限定的だった。
日本学園は全校生630人ほどの小規模校で、「MARCH以上の難関私立大学の現役合格を目指す」という高校の特別進学コースがけん引する形で、私立大を中心に近年進学実績を伸ばしており、21年は明治大に12人が合格している。とはいえ、このまま生き残ることは困難という判断もあったのだろう。今後、明治大がマネジメントを含め、どこまで手を差し伸べるかも注目される。
明治大には、08年に駿河台から調布移転時に共学化した明治大学付属明治(明明)のほか、1949年に付属化した男子校の明治大学付属中野、84年に開校した共学校の明治大学付属中野八王子という三つの系列校がある。学校法人が異なる明大中野と明大中野八王子は一般的には系属校といえる存在だが、ゆるやかなつながりが続いている。JR中央線と京王線沿いに最寄り駅があり、系列校同士の併願も多い。
21年の明治大への内部進学率は、明明93.4%、明大中野八王子90.8%、明大中野81.6%と高い。明治大学付属世田谷と改称後、付属高等学校推薦入学試験による入学者の受け入れが始まる29年からは、卒業生比で当初30%程度から受け入れが始まるもようだ。その後は先行する各校と同様の内部進学が期待されることになるだろうが、そのカギを握るのは共学化で入ってくる優秀な女子の動向である。既存3校と併願しやすい2月1日などの午後入試を導入することで、系列校間の併願はさらに高まるだろう。
21年こそ10万人を割ったとはいえ、一般選抜入試の志願者数で早稲田大と競い合うような明治大なのだが、18年以降減り続けている18歳人口を前に、学生確保のための取り組みを強化してきた。いくつかの高校に声をかけていたようだが、立地的にもベストの選択をしたといえそうだ。
一方、日本学園はいずれも80%予想偏差値で、首都圏模試が40か41、四谷大塚はつかないといった状況にある。中学は3日間に行う7つの入試で170名を募集しているが、そのうちの40名は2月1日午前実施の第1回と適性検査で募っている。その受験者数(合格者数)の推移を見ると、21年は26(19)と18(13)、20年は13(8)と15(13)、19年は14(7)と39(28)といった具合で、この3年間、合格者数が募集人員を超えていない。中高の在校生比は1対9ほどで、高校の段階でより多くの入学者を得ているのが現状である。
ところで、MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)はどのような付属・系属校を持っているのか。次ページにその一覧を載せたのでまずはご覧いただきたい。