MARCHによる系列化戦略

 前掲の一覧表を見ると分かるように、大学によって中高一貫の付属・系属という系列校の在り方はさまざまだ。学校法人を大学と同じくする付属校のみのところもあれば、学校法人の異なる系属校も併せて持つところもある。

 中央大と法政大は、それぞれ2つの中高一貫の付属校を持つ。中央大学附属横浜は、横浜山手にあった横浜山手女子を10年に法人合併で傘下に収め、13年には現校名に改称した上で、港北ニュータウンに新設・移転している。21世紀に入ってからのこうした付属校化は、他に見られない徹底したものだった。

 中高一貫校以外に、中央大は中央大学杉並(杉並区)と中央大学(文京区)という2つの付属高校を持つ。法政大にも中高一貫だった法政大学女子を高校のみとした後、18年に改称した法政大学国際(横浜市鶴見区)という付属高校がある。いずれも90%前後が系列の大学に内部進学している。    

 立教大には、男子付属校と女子系属校が2校ずつある。内部進学率には差があり、立教池袋94.1%、立教新座83.9%に対して、立教女学院と香蘭女学校は65~60%台にとどまる。いずれも聖公会系の学校だが、立教大は立教女学院と英国立教学院を系属校とし、香蘭女学校はそこに含んでいない。

 とはいえ、香蘭の理事会には立教大付属校の元理事なども就任している。たとえて言えば、早稲田大と早稲田中学校・高等学校に近いような関係である。高大連携プログラムに基づき、97名もの推薦枠(受け入れ総枠は147名)を設けており、単なる教育協定校以上の存在である。今後、卒業生比80%程度まで推薦枠を増やすことを明言しており、より付属校に近づいていくだろう。ちなみに立教女学院の推薦枠は115名(同151名)である。

 青山学院大は長らく渋谷キャンパス内にある付属校のみだったが、同じプロテスタント系小中高一貫校の系属校化を相次いで進めた。14年には横浜英和女学院を校名変更して青山学院横浜英和とし、18年に共学化している。19年からは浦和ルーテル学院に青山学院大学系属と冠した。系属校の契約は6年更新だが、それを打ち切るような状況にはないようだ。

 立教大や青山学院大は、同じキリスト教教育のいくつかの女子中高一貫校に以前は声をかけていた。今回の明治大に続く動きが、MARCHの他大学から今後出てくるかもしれない。