消費性向がコロナ前に戻ることで
見込まれる個人消費の増加額

消費性向がコロナ前に戻ることで見込まれる個人消費の増加額*内閣府「国民経済計算」を基に日本総合研究所試算

 2021年9月末に緊急事態宣言が解除された後、個人消費の持ち直しが明確化している。日本銀行が算出する実質消費活動指数は、10月に前月比+4.3%と大幅に上昇し、20年12月以来の水準を回復した。民間エコノミストの予測を集計したESPフォーキャストの12月調査でも、21年10~12月期の個人消費は前期比+2.2%と、4四半期ぶりの高い伸びが見込まれており、消費主導の景気回復への期待が高まっている。

 では、消費活動が正常化すれば、個人消費にはどれくらいの増加余地があるのか。コロナ禍で大きく落ち込んだサービス消費は、モノの消費に比べ、いわゆる「リベンジ消費」と呼ばれるようなペントアップ需要が生じにくい。旅行を例に取ると、これまで自粛していた分を挽回しようと思っても、時間などの制約から短期間に何度も旅行できる人は限られる。このため、コロナ禍で積み上がった貯蓄を短期間で取り崩すような消費の上振れは期待しにくい。