「投資の神様」「オマハの賢人」と呼ばれ、投資だけで個人資産10兆8000億円を築いたウォーレン・バフェット。バフェットの強さの秘密は何か。その謎を解く1冊の本がある。バフェット研究の第一人者ロバート・G・ハグストロームが、投資で成功するために必要な哲学と思考を解き明かした『バフェットのマネーマインド』(小野一郎訳)だ。今回、日本版の刊行を記念して、少年時代のバフェットの投資にまつわるエピソードを紹介しよう。

11歳のバフェット少年が理解していた「複利」の絶大な効果Photo: Adobe Stock

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バフェット伝説の始まり

 偉業を成し遂げた人々には伝説がつくり上げられる。注意して見れば、若い頃すでに大成功するヒントがあったのではないかと、人はさまざまな逸話に大喜びする。

 世界で最も偉大な投資家ウォーレン・バフェットにも有名な逸話がたくさんある。おそらく皆さんはそのほとんどをご存じだろう。

 6歳のバフェットがどんな準備をして歩道にテーブルを出し、キャンディやガム、ソーダを売ったか。祖父が経営する雑貨店でコカ・コーラの6本パックを25セントで購入し、1本5セントで販売して20%の利益を得て、その翌年には、サンタクロースに債券についての本をお願いしたこと。

 また、その翌年には、もっと知りたくなって株式市場に関する父親の持っていた本を読むようになったこと。11歳になると、自分で初めて株式を購入し、17歳のときには25ドルでピンボールマシンを友達と一緒に購入し、近所の散髪屋に置いてもらったこと。それで得た収入でマシン2台を追加購入し、1年後にはそのビジネスを1200ドルで売却したこと。

 しかし、あなたが知らないかもしれない話がもう一つある。そしてその話はほかのどの話よりもおもしろいと思う。