153ページを読んだときには、とても喜んだに違いない。第6章のテーマは道路沿いで行うビジネス。この若い起業家が5年以上前から取り組んでいるビジネスだ。

 第10章はサービス事業について多くのアイデアが満載だったが、その中に酒場などの店先に設置したコインを投入して動かすビリヤード台があった。今から振り返れば、この話はバフェットが6年後に始めることになるピンボールマシンの事業に直結していたように思える。

成功の秘訣は
利益を使ってさらなる利益を生み出すこと

 このサービス事業に関する第10章には、バフェットの考え方に強い影響を与えたと思われる話がある。

 1933年にハリー・ラーソンという人がドラッグストアで買い物をしていると、誰かが彼の体重を尋ねた。彼はコインを投入する体重計を見つけて小銭を入れ、体重を測ってから葉巻のカウンターに向かった。彼が並んでいる間に彼のほかに7人が体重計を使った。これに気づいたハリーが店主に尋ねると、体重計はリースしたもので、売り上げの25%(月に20ドル程度、現在の価値だと384ドル相当)を店が受け取り、残りの75%は体重計の所有者にいくと言う。

 それがすべての始まりだったとハリーはミネイカーに話した。彼は蓄えていた175ドルで体重計を3台購入し、すぐに毎月98ドルを稼ぐようになった。「投資リターンとしては悪くなかったよ」

 しかし、バフェットの好奇心を刺激したのはハリーが次に取った行動だった。

「私は全部で70台の体重計を買ったのだが、そのうち67台は最初の3台が生み出した利益で購入したものだ。生活の糧の元手となる体重計を買うのに十分なお金を稼いだうえで、いい暮らしをもたらしてくれた」

 コツコツ貯めることは、複利計算の本質といえる。

 複利というと、利息について考えてしまうものだ。アルバート・アインシュタインの有名な言葉をご存じだろう。「複利で計算する利息は世界の8番目の不思議だ。理解した人はそれを手にし、理解しない人はそれを支払う」。しかし、複利の考え方は根本的にはより広く強力な意味を持っている。つまり、利益を使っていっそうの利益を生み出すということだ。

 ハリー・ラーソンは本能的にそれを理解していた。そして、若いバフェットも同じことを感じたのだ。

 ずっとあとになって、バフェットはコイン式体重計を例にとって彼の考え方を説明したことがある。

「体重計は理解しやすいでしょう。まず1台購入し、それが稼いだ利益で追加購入します。短い期間で20台くらいは持てます。多くの人が1日に何度も体重を測るようになります。ここにお金を稼ぐチャンスがあります。利益を使ってさらに利益を生み出す。この複利的な増やし方よりよいものがあるでしょうか」

 このメンタルなモデルこそが、のちにバークシャー・ハザウェイとして結実することになる枠組みを形づくったものなのだ。