「3倍」が左右する難関・上位校の志願状況

 まずは表1に掲載した偏差値60以上の難関・上位校である。入試名の書いてある学校以外は、1日午前のこの1回だけの入試となっている。すでに出願を締め切った学校も多い。全体的に見ると、21年より増やしたものの、20年の水準まで回復していない学校が目につく。麻布が典型で、21年に20年より135人減らした反動もあって、22年は21年より53人増やしたが20年には及ばない。女子学院も同様で、21年より46人増やしたが、20年よりは少ない。

 難関校の実倍率(受験者数と合格者数の比)は2倍台半ばから後半のところが多い。桜蔭のように、21年に増加したものの、22年は20年水準に戻り、2倍割れの少数激戦が続く学校もある。駒場東邦は21年に20年比で40人増やしたものの、現状では21年より1割程度減らしそうな状況にある。こちらも2倍前後の実倍率となりそうだ。

 一番多くの受験生を集める開成は、20年の実倍率が2.99倍と過酷だったこともあるのか、21年に続き、22年も156人減となった。早稲田(第1回)も同様で、21年は60人減らすことで実倍率は2.71倍まで緩和し、現状ではさらに減少傾向となっている。

 一方、武蔵は21年に出願者数は減らしたものの実倍率は上がり、22年は640人と20年を上回る志願者を集めた。実倍率は3倍を超えている。頌栄女子学院(第1回)も2ケタ増の勢いで、やはり20年を超えそうだ。

 早々に出願を締め切ったフェリス女学院は、20年から22年にかけて30人ほどずつ増やしたが、実倍率は2倍強程度と低めのままだ。逆に年々減らしてきた雙葉と洗足学園(第1回)はそれでも3倍程度にとどまりそうだ。21年比で7%減らした早稲田実業も同様である。

 21年に2.92倍となった海城(一般〈1〉)は微減、サレジオ学院は1割以上減らすかもしれない。その点、同じ横浜市でも慶應義塾普通部は、四模試結果の微減から前年比16人増と微増に転じている。締め切ったものの志願者数を公表していない早稲田大学高等学院も微増して20年を超えるかもしれない。

 21年に4倍台半ばとハードだった広尾学園(第1回)は倍率を緩和しそうな情勢にある。一方で渋谷教育学園渋谷(第1回)は実倍率が3倍超だが、男女ともに増加基調にあり、22年の難関校では例外的に大きく志願者数を伸ばすかもしれない。

 21年に前年比で100人も上積みした鷗友学園女子(第1回)は微減傾向、入試回数を2回にして第一志望者の取り込みに注力している吉祥女子(第1回)は微増傾向である。立教女学院は前年比50人以上減らして、実倍率は2倍強まで緩和しそうだ。