21年を上回る埼玉の志願動向
2021年首都圏中学入試はコロナ禍での初体験となり、多くの学校が追試験の日程も設定したものの、事前の周知が行き届き、受験生も保護者と共に万全の対策を取ったこともあり、大きな混乱もなく終えることができた。
長距離の移動を控える傾向から、東京や神奈川からのお試し受験が大きく減少したことにより、首都圏入試の皮切りとなる1月10日からの埼玉各校は、概ね20年比で出願者数を減らした。とはいえ、昨年の記事でも触れているように、初回入試の出願者に対する実受験者の割合である受験率そのものは、前年比微減程度に収まっていた。
22年はどうなのか。実際の出願動向も踏まえながら考えていきたい。次ページには受験者数の多い入試について、20年と21年のデータとともに一覧にしてある。
例年1万2000人前後と、いまや全国で最も多くの受験生を集めているのが栄東である。中でも第1回となるA日程には、例年6000人以上が押しかける。21年は10日と12日に、22年も10日と11日に分けて行った。会場は各日3カ所ずつ用意している。昨年12月下旬時点ですでに21年の6017人を上回る勢いだったが、最終的に10日4709人、11日2320人の合計7029人と7000人を超えた。この連載でも再三お知らせしてきたように、22年入試が史上最大規模の受験者になりそうという観測を裏打ちする最初の例となった。
なぜここまで栄東の初回入試は大きく膨らんだのか。21年入試でも徹底した感染対策を施していたことへの安心感がまず挙げられる。この日も9時と10時に受付時間を分けて密を回避していた。また、従来は千葉の学校を受験していた層がこちらに集中した様子もうかがえる。
そして、オーソドックスな入試問題であることが受験生にとって最初の力試しへの安心感を与えている。分割した日程を12日から11日にずらしたことも受けやすさを増したのかもしれない。