株主優待は
投資の「本質」ではない
株式投資を始めた人やこれから始めようと考えている人にとって、株主優待や配当はとても魅力的に映るようだ。実際、マネー誌でも株主優待が取り上げられると一挙に販売部数が伸びるそうだし、有名人の中には優待で生活している人がいるといったことなどが紹介されると魅力的に感じるのは当然だろう。
この理由は何といってもわかりやすさにある。そもそも我々が普段使ったり楽しんだりしている品物を保有することと異なり、金融商品というのは抽象的な存在だから今ひとつ満足感を得にくいものである。もちろん株を保有していれば売却しなくても毎日の価格の変動で今もうかっているのか損をしているのかはすぐわかるので、決してわかりにくいものではないのだが、実際に目に見える即物的な喜びは感じにくいことは事実である。
ところが株主優待は非常に即物的だ。何しろ目の前にビールやジュースがドーンと届いたり、無料食事券が送られてきたりするわけだから、テンションが上がらないはずがない。株を保有することで株主優待があり、具体的な商品が送られてくると、これは素直にうれしい。人間は形のあるものの方がわかりやすいし、喜びを感じやすいからだ。
筆者も株主優待を否定するつもりはないし、株式投資の楽しみのひとつであることは間違いない。