月々25万円を得るために
FIREの基本的考え方とは

 FIREの詳細については、他にたくさん記事が出ているのでそちらに譲るとして、ここではごくおおまかにその内容に触れるだけにとどめておきたい。
 
 まずお金をためて資産を作り、目標額に達したら仕事をリタイアして資産運用をスタートさせる。すなわちFIRE生活の始まりである。多くのネット記事では年4%の利率を目指す「4%ルール」を基準としているが、これはその人の資産運用法によって3%にも5%にもなりうるようである。
 
 資産を7500万円ためると、年利4%で年に300万円(月々25万円)が不労所得で稼げるので、まあオッケーなのではないか……という算段である。資産7500万円は目減りすることなく、月25万円の収入をもたらし続ける錬金術の素材となる。
 
 しかし資産運用、すなわち投資であるから当然リスクはある。向こう何十年にわたって年利4%がキープできるとは限らないし、私生活で急な出費が余儀なくされる場合もある。資産7500万円が目減りすれば月25万円は確保できず、FIREは破綻する。
 
 また、FIREには投資の知識が不可欠であり、FIREを始めるならまず勉強が必要だが、その世界を知るほどもっとハイリターンな投資に興味を持つ人も少なくなかろう。しかしハイリターンということはイコール・ハイリスクである。そちらに食指を動かすと、現今知られる“FIRE”からはややニュアンスが離れていく。
 
 つまり、「不労所得で一生月25万円」といえばいかにもうまそうな話に聞こえるが、お金を計画通りにためたのち長きに渡って定額しか消費しない節制力、投資を学ぶ勤勉さ、投資リスクへの理解、FIREを貫く意志の強さ、早期リタイアでキャリアをいったん終えることへの覚悟、そして投資がうまくいくための幸運など、さまざまなものが必要とされる。実はハードルが高いのがFIREの本質である。