サッカーW杯予選コロナ対策の舞台裏、三木谷会長「怒りのツイート」のワケ1月27日中国戦、ゴールに喜び合う選手たち  Photo:Etsuo Hara/gettyimages

オミクロン株が猛威を振るう中で、今秋に中東カタールで開催されるサッカーのワールドカップ出場を懸けたアジア最終予選が、埼玉スタジアムで予定通りに開催されている。全世界を対象とした外国人の新規入国を原則禁止とする水際対策が実施されている中で、中国・サウジアラビア両代表選手団が特例で入国し、日本代表と戦っている。その背景を、Jリーグのクラブから招集された国内組だけに課された隔離義務や、その期間を巡る是非とともに追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

外国人の新規入国は禁止だが…
試合開催を可能にした「特段の事情」とは

 新型コロナウイルスが変異した「オミクロン株」への水際対策を強化するとして、日本政府が昨年11月30日午前0時から全世界を対象として原則禁止とした外国人の新規入国は、当初の1カ月間の予定が、年を越えて2月末まで延長されている。

 スポーツや芸術などの分野で、昨年は許可された「特段の事情」による入国は、今回に関してはいっさい認められていない。1月21日に埼玉スタジアムで予定されていた、日本代表とウズベキスタン代表とのサッカーの国際親善試合も中止になった。

 日本サッカー協会(JFA)は、国内で昨年に開催した国際試合の実績を踏まえて政府側と折衝を重ねてきた。しかし、ウズベキスタン選手団に対する入国許可が下りなかったため、既にチケットも発売されていた中で1月7日に中止を発表した。

 一方で中国、サウジアラビア両代表とともに埼玉スタジアムで対戦する、カタールワールドカップ・アジア最終予選を予定通り開催すると同じく7日に発表した。27日には中国戦が行われ、日本が2-0で快勝して連勝を「4」に伸ばした。

 中国代表もサウジアラビア代表も、ウズベキスタン代表と同じく新たに入国する外国人となる。それでも国際親善試合が中止となり、対照的にワールドカップ・アジア最終予選が開催された理由を、JFAの須原清貴専務理事はこう説明している。

「アジア最終予選を実施する公益性や緊急性が非常に高く、このタイミングでの入国が真に必要であると日本政府に判断していただいた」

 今秋のカタール大会出場を懸けたアジア最終予選が実施されなければ、世界的なイベントであるワールドカップに影響を与えかねない。これが「特段の事情」と判断され、両国の選手やスタッフ、審判団など約100人の入国が特例で認められた。