7大会連続7度目のワールドカップ出場を目指す日本代表が、アジア最終予選で大苦戦を強いられている。12日の難敵オーストラリア代表戦で勝利し、2勝2敗の五分に戻したとはいえ、現状でグループBの4位に甘んじている。解任を求める声がネット上であふれる一方で、試合前の国歌斉唱時に感極まって涙し、選手からは「みこしを担ぎたい」と思いを寄せられる、森保一監督を巡る問題点を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
試合前に流した涙に
世界も注目
サッカーの国際試合でめったに見られない光景は日本国内だけでなく、韓国や中国、ブラジル、イギリスなど世界各国でも驚きを持って受け止められた。
埼玉スタジアムで12日に行われたオーストラリア代表とのアジア最終予選。キックオフ前の国歌斉唱時に流れた君が代が終わりに近づいた瞬間だった。
ベンチ前で口ずさむ日本代表の森保一監督の表情を、テレビカメラがアップで捉えた。両目は今にもこぼれ落ちそうなほどの涙であふれていた。
代表チームの指揮官が涙腺を決壊させかける。それも試合前に。理由を問われた森保監督は「毎回、君が代を歌って試合ができることを喜びに思う」と述べ、こう続けた。
「今日のホームでの試合でたくさんの日の丸を見て、たくさんの応援を受けている中で君が代を歌わせていただいて、いつものように目頭が熱くなりました」
オーストラリア戦後のフラッシュインタビューで残した言葉だったが、実際には別の要因も働いていたようだ。答えは2-1で勝利した直後に組まれた円陣にあった。