将棋の世界というと、「とっつきにくい」「難しい」というイメージを抱く方も多かったのではないでしょうか。将棋そのものは比較的身近な存在ではありますが、プロの棋戦となるとあまりにもレベルが高く、気軽に観戦、応援しにくいものでした。そんな中、今や将棋の世界を超えて世間で大きな話題を呼んでいるのが藤井聡太竜王です。中学生棋士としてデビューを果たし、わずか数年でトップ棋士に仲間入りしました。2022年1月現在、19歳にして将棋界において名人と並ぶ最高タイトルである竜王をはじめ、4つのタイトルを獲得しています。今回は、そんな藤井聡太竜王が巻き起こした大ブーム、そして経済効果について詳しくご紹介します。(フリーライター マキ・ユウタ)
将棋界での「藤井聡太ブーム」には
二つの要因がある
これまで将棋界では、七冠獲得や永世七冠獲得などの偉業を成し遂げた羽生善治九段などのスター棋士が誕生してきました。中でも現在の「藤井聡太ブーム」は、異質であると感じるほどに注目度が高く、従来の将棋ファン以外からも関心を集めています。
藤井聡太竜王は、将棋界において初めての「スター棋士」というわけではありません。もちろん、史上最年少でのデビュー直後から打ち立てた連勝記録や、多くの最年少記録を塗り替えるなど、ずば抜けた成績を残しているのは事実です。
とはいえ、スター棋士である羽生善治九段や渡辺明名人も中学生でプロ入りし、10代でタイトルを獲得しています。しかし、現在の「藤井聡太ブーム」のようにデビュー直後から将棋界を超えた話題を集めてはいません。なぜ、藤井聡太竜王だけがこれほどまでに大きなブームを巻き起こしたのでしょうか。そこには二つの要因があります。