「万学の祖」の所以
アリストテレスは、声に力がなく必ずしも講義が得意ではなかった、といわれています。
そのためか詳細な講義録を残しました。
その講義録が中世にまとめられ、『アリストテレス全集』となって今日まで残されています。
もともとは550巻ほど存在した、といわれる彼の著作の3分の1前後がこの全集に収録されています。
その内容は「万学の祖」と呼ばれるのにふさわしく、まさに多岐にわたっています。
論理学、倫理学、形而上学(現象を超越し、またはその背後にあるものの真の本質、存在の根本原理、絶対存在を純粋思惟によりあるいは直観によって探求しようとする学問。神・世界・霊魂などがその主要問題)、政治学などの哲学に関連する分野だけではなく、物理学、天文学、気象学、生物学などの自然科学についても広く網羅しています。
次回以降、アリストテレスの哲学の特徴的な点を、いくつか取り上げていきましょう。
この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)