Jリーグを目指すクラブへの入団
自ら棒に振った成功への道

 高校中退後も、21歳までは、身を置いていたその土地土地の素人チームに参加しながら、クリスチャンはサッカーを続けていた。それから2年間はサッカーを離れたものの、彼が23歳の時、「サッカー留学生」時代の活躍を知る東北地方のクラブチーム、Jリーグ入りを目指すほどのチームの関係者が、チーム補強の柱としてクリスチャンに白羽の矢を立てたのだ。

 チームに入団した彼は、すぐに圧倒的なスピードで点取り屋の本領を発揮。1試合9得点をマークするなど、2年間のブランクを乗り越えて復帰した姿に、周囲の期待も高まった。

「あの時は、おれの人生やっぱりサッカーしかないと思ってたんですけどね……」

 クラブチーム所属時代の話を、クリスチャンはあまり口にしたがらない。入団即大活躍と聞けば、将来への展望が開けたように思える。だが、そんな時のクリスチャンは、これまでと同じように、必ずすべてを自分自身でぶち壊してしまう。

「監督の考え方とか、方針とかが合わなかったんです。何度かケンカしたりして……」

 当時の多くを語らないものの、結局、わずか1年ほどで自らチームを去ってしまうことになる。

 すでに夜の世界に本格的に足を踏み入れており、酒も、遊びも知っていた。「遠い夢」を追いかけるクラブチームにいたからといって、高い給料が支払われることも、熱狂的なサポーターに支持されるわけでもない。ただひたすら、地味に、地道に「身近な現実」と向き合い続けることが性に合わないならば、それは「苦難に耐え忍ぶ生活」でしかない。

 彼は、いつものように、酒を飲んで練習や試合を無断欠勤したのかもしれない。チーム退団後、クリスチャン自身の言葉によれば「オーストラリアのクラブチームから誘いがあって半年間ほど所属したけど、怪我をしたのでサッカーの道はあきらめて、日本に帰国した」という。