「公費負担はない」と説明されてきた大阪維新の会の看板政策である、カジノを含むIR計画。だが、土壌汚染や液状化対策に大阪市が790億円を投じることが昨年末に公表された。金額決定の経緯が明らかになると期待された議事概要の黒塗り部分がこのほど開示されたが、依然として不明なままだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
松井市長の指示で黒塗りを開示
市幹部が苦しい胸の内を吐露
土壌汚染や液状化への対策に巨額の負担が生じることとなった大阪湾の埋め立て地「夢洲」でのカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。大阪市議会議員からの要求により、松井一郎市長や幹部による2021年2月12日の会議の議事概要が提出されたが、肝心の内容がすべて黒塗りだった(『大阪カジノで市負担の土壌対策費790億円が、WTCの二の舞になりそうな理由』参照)。その後、松井市長の指示で2月3日に市ホームページで黒塗り部分が公開された。
議事概要には、新型コロナウイルスの感染拡大で計画の大幅変更を余儀なくされた市幹部の苦しい胸の内が率直に吐露されていた。
IRを運営する民間事業者の募集は19年12月に始まり、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社による企業連合が唯一応募した。
その後に夢洲の土壌汚染への対策が必要だと判明し、市は応募要項を修正して21年3月に再度実施。同9月にMGMオリックス連合に決まった。
21年末には、土壌汚染対策などの費用として約790億円を市が負担すると新たに判明し、計画の収益性が懸念されている。
議事概要によると、大阪市の坂本篤則IR推進局長はこの会議で、コロナ禍の影響をとつとつと語っている。