強大な影響力を持つ中国企業の一部が今年に入り、国営テレビで大きな注目を集めている。ありがたくない理由からだ。中国では1月に、国営テレビや動画配信サイトで五部構成のドキュメンタリー番組「ゼロ寛容」が放映された。堕落した共産党メンバーが、収賄など企業絡みの汚職に関する自分の罪深い過去について告白するという内容だ。中国華信能源や国有銀行の国家開発銀行(CDB)のほか、名指しこそされなかったがフィンテック企業アント・グループなどがやり玉に挙げられた。このシリーズ番組は、中国国営中央テレビ系列の国際放送、中国国際テレビ(CGTN)と共産党の汚職摘発を担う中央規律検査委員会(CCDI)が制作したもので、プロパガンダ(政治宣伝)と見せしめ裁判の双方の要素を含んでいる。民間企業の台頭と資金力拡大をほう助した当局者に対しては、今後も容赦ない取り締まりが続くとけん制する狙いがある。