原油価格を押し上げるイラン戦争、プーチン氏は笑み隠せずPhoto:Contributor/gettyimages

 原油価格上昇を背景に米政府が関連する対ロシア制裁を再評価する中、ウラジーミル・プーチン大統領はイラン紛争がもたらす恩恵に高揚感を隠せずにいる。

 プーチン氏は9日遅く、ロシアの大手石油・ガス企業の経営陣と会合を開催。欧州諸国は同国のウクライナ侵攻を理由に、4年間にわたってロシア産エネルギーからの脱却を進めてきたが、これを嘲笑する機会を逃さなかった。

 プーチン氏は皮肉を込めて、欧州が米国やペルシャ湾からの液化天然ガス(LNG)よりも安価なロシア産ガスに戻りたいのであれば、明確な意思表示を求めると発言。「欧州企業や欧州の買い手が突然方針の転換を決め、政治的な意味合いを排除した一貫性のある長期的な協力を保証するのであれば、どうぞ。われわれはそれを拒否したことはなく、欧州と協力する用意がある」と述べた。

 原油はロシア経済の生命線だが、価格下落が続いていた。これに加えてウクライナ前線の軍を支える必要性があり、財政が打撃を受けていた。経済見通しも下振れし、今後数年間の年間成長率が1%以下にとどまると予想されている。

 その中での原油価格の急騰は、少なくとも一時的にはロシア経済に新たな活力を与える。

 ロシアの代表的な油種ウラル原油は昨年の大半にわたり、1バレル=50ドルをわずかに上回る水準で取引されていたが、今週に入って急騰し、100ドルを上回った。ロシア経済は原油価格が10ドル上昇するごとに、年間で約0.7%拡大する。同国は1バレル=59ドルで財政収支を均衡させることができる。

 ピーターソン国際経済研究所のエリナ・リバコワ上級研究員は、ロシアによるウクライナとの戦争や欧米各国とのさまざまな対立に触れ、原油価格の上昇により「ロシアは少しの猶予を得られることになるが、新たな戦線を開くほどではない」と指摘。その上で「もしこれが半年間続けば、ロシアがそうする意欲が高まることを懸念する」と述べた。