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三菱商事は1月、米国でシェールガス事業を手掛けるAethon(エーソン)の完全子会社化を発表した。総合商社史上最大の1.2兆円を投じる超大型案件だ。2027年度には最大800億円の利益貢献を見込むが、一時期掲げた「非資源シフト」から、得意の資源分野へ再びアクセルを踏む転換とも映る。長期連載『クローズアップ商社』内の特集『三菱商事「最強伝説」の終焉』の#4で、この巨額投資が王者復権の決定打となるのか、それとも「化石燃料依存」のリスクをはらむのかを検証する。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
1.2兆円で米ガス大手を完全支配
日本需要の4分の1を握る巨大権益
「当社はこれまで50年以上にわたりエネルギー事業に携わってきた。当社の総合力を最大限に生かした価値創造を目指す、まさに『経営戦略2027』で掲げたスケールのある『天然ガスバリューチェーン構想』を具現化する案件だ」
1月16日、東京・丸の内の三菱商事本社。米国でシェールガス事業を手掛けるAethon(エーソン)の完全子会社化を公表した記者会見の冒頭、中西勝也社長はそう胸を張った。
それは同時に、同社が一時掲げた「非資源分野の強化」を翻し、十八番(おはこ)の資源分野に再注力していくことの宣言にも映る。
株式の取得対価52億ドルに加え、エーソンから引き継ぐ純有利子負債を含む投資総額は約75億ドル(約1.2兆円)に上る。この巨額投資により、三菱商事は液化天然ガス(LNG)換算で年間約1500万トンの持ち分生産量を有する権益を獲得する。
28年度のピーク時には1800万トンまで増産する見込みで「日本の24年の輸入量である約6600万トンの約4分の1に匹敵する巨大権益」(三菱商事関係者)という(詳細は『三菱商事が米国シェールガス事業に1.2兆円投資!総合商社史上最大の投資で明らかになった中西社長の「リアリズム路線」とは』参照)。
それだけに“破壊力”は大きい。エーソンはすでにシェールガスの開発・生産・販売までを一気通貫型で手掛けている。掘削から港に至るパイプラインの新規整備の必要がなく、生産から収益化までのスピード感は他の類似案件とは一線を画す。
純利益の貢献は26年度には500億円、27年度には最大で800億円、周辺領域のシナジーも含めれば「1000億円規模の収益貢献が見込める」(前出の三菱商事関係者)。
経営戦略2027で掲げた純利益目標1.2兆円に向けて大きな進歩となった一方、ボラティリティの高い資源に依存するポートフォリオから脱したとは言い難い。
LNGはこれまでの原料炭や銅と同じく稼ぎ頭であり続けるのか。次ページで三菱商事が描く勝算と、「化石燃料頼み」の限界について検証する。







