イケア・QBハウス・LCC…顧客価値を爆上げした「減らす」戦略の強みPhoto:PIXTA

新規事業を成功させるためには、「価格設定」「顧客のシフト」に加えて「顧客に提供する価値」をシフトすることが重要です。今回はいくつかの事例を踏まえて顧客価値をシフトする方法を探っていきましょう。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)

「顧客価値」をシフトして
事業成功の可能性を探る

 事業を成功させる上では、「顧客にどのような価値を提供するか」、つまり「顧客価値」が重要な鍵を握ります。顧客価値を高められれば、事業の成功に近づくはずです。ただ真っさらな状態でゼロから顧客価値について考えるのは、非常に難しいことです。

 そこで押さえておきたいのが、既存の顧客価値を「シフトする」視点です。自社や競合の事業の顧客価値とは何かをひもとき、その価値をさまざまな視点でシフトしてみると、新たな事業の可能性が見えてくるかもしれません。今回は、そんな顧客価値をシフトする視点について、いくつか事例を交えて解説したいと思います。

【モノからサービス、モノ+サービスへ】
IBMがコンサルティング、ナイキがアプリ提供

 まず一つ目は、モノを提供する方法からサービスの提供に変えたり、モノに加えてサービスも提供したりする方法にシフトする方法です。サービスからモノに切り替える、逆のパターンもあります。

 近年は特に、モノを提供していたメーカーがサービスの提供に切り替える、またはサービスも一緒に提供し、より付加価値の高い商品にしようとする動きが増えてきています。

 モノからサービスの提供に変えて成功した例としてよく知られているのが、IBMです。主力だった大型コンピューターやパソコンの製造販売事業を中国レノボなどに売却し、プライスウォーターハウスなどを買収して、ソリューション(問題解決)サービス、コンサルティングサービスを提供する会社へと方向転換。高収益体質への変身を遂げました。