総務省は1月28日、2021年の住民基本台帳の人口移動報告を発表した。外国人を含めた集計を開始した2014年以来、東京23区は初めて、転出した人が転入した人を上回る「転出超過」となったことが注目された。だが、歴史的に見れば、東京の転出超過は決して珍しいことではない。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
東京23区の人口が
転出超過に
総務省は1月28日、2021年の住民基本台帳の人口移動報告を発表した。東京都の転入した人から転出した人を差し引いた「転入超過」は5433人で、23区では転出した人が転入を上回る1万4828人の「転出超過」となった。
23区が転出超過となるのは外国人を含めた集計を開始した2014年以来初で、日本人のみの統計だった頃にさかのぼっても1996年以来のこととなった。テレワークの普及で通勤する必要がなくなり、また人口が密集した都市環境を嫌い、人々は都心を脱出してしまったのだろうか。
東京23区、大阪市では1990年代後半、名古屋市でも2000年代半ばから転入超過の「都心回帰」が始まり、これを追い風に都市鉄道の利用者数は大きく増加。各社は空前の利益を計上し続けてきた。