大きな業績や偉大な功績を挙げる人の共通点の1つが、困難があっても夢や目標に向かって進み続ける力だ。しかし、困難に直面しても諦めずにやり抜くことは、簡単なことではない。強い意志で努力を継続できても、何かの拍子に燃え尽きてしまうこともある。モチベーションを保ち、夢や目標のためにやり抜くにはどんな秘訣があるのだろうか。『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ著、ダイヤモンド社)から読み解く。(文/鈴木 舞)
怪我を克服し金メダルを獲得
成田緑夢選手はなぜ復活できたか
2018年の平昌パラリンピックで男子スノーボード金メダルを獲得した成田緑夢選手は、もともとはオリンピックを目指していた選手だ。成田選手の兄・成田童夢選手、姉・今井メロ選手もスノーボード競技でオリンピックに出場を果たしており、まさにスポーツ一家。成田緑夢選手も幼少時にスノーボードを始め、小学生の頃からその実力が認められるほど注目が高かった。
しかし2013年、バランス感覚を磨くためにトランポリンを使用した練習中、着地に失敗して左足を負傷した。一時は左足切断の恐れもあった。その後、切断は免れたが歩行は困難という診断結果に。再起が危ぶまれた成田選手だが、怪我を克服して驚くべき回復を見せ、競技に復帰。ついには平昌パラリンピックでメダルを獲得するという結果を残した。
怪我の後もスノーボードを諦めなかった成田選手は、「パラリンピックに出場して活躍し、障害を負ったとしても夢を追い続けられるということを伝えたい」という新たな目標を掲げ、努力を続けたという。
困難に直面しても継続する能力は、成田選手のみならず、一流のアスリートやビジネスパーソンに共通する強みだ。世界の一流パフォーマーについて最新科学の観点から共通点を考察した書籍『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ著、ダイヤモンド社)によると、「やり抜く力(グリッド)」の獲得が成功の鍵になるという。