かつて、体に悪いとされていたコーヒー。タバコやお酒と同列に捉えられることもあり、「子どもや妊婦は摂取してはいけない」と多方面で言われていた。しかし、最近はその空気が変わりつつある。コーヒーを1日2〜6杯飲む人は、ほとんど飲まない人や全く飲まない人に比べて長生きするという研究結果が出たのだ。アメリカ国立衛生研究所では14年間かけて、40万人からデータを収集。調査期間中の全死因死亡率が男性で約10%、女性で約15%低かったのだ。
日本のビジネスパーソンにおいても、商談や会議において傍にコーヒーが添えられるシーンが多いことだろう。これまで「体に悪い」「体に良い」で議論が繰り返されたコーヒーの真の効用を、書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』(サンジブ・チョプラ著、ダイヤモンド社)から紐解く。
体に良いのか、悪いのか?
コーヒーに含まれるカフェインの効能
歴史を遡ると、コーヒーは薬として服用されてきた飲料だ。古来より人間は、カフェインに含まれる覚醒作用を活用してきた。カフェインを摂取すると、計算力や記憶力が向上し、疲労が抑制されることが判明している。こうした覚醒効果が、仕事の効率化やモチベーションアップを助けてくれるのだ。
さらにコーヒーを飲むと、仕事のパフォーマンスだけでなく、運動機能向上も期待できることが研究調査で報告された。
ハーバードメディカルスクール教授のサンジブ・チョプラ医師が、質の高い研究報告をまとめた書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』(サンジブ・チョプラ著、ダイヤモンド社)で、カフェインの効果についてこう述べている。
「カフェインは中枢神経刺激剤として作用し、心拍数や血圧を上昇させるなどの効果を通じて、頭が冴え元気になったように感じさせる。またカフェインには運動能力を高める生理作用があるため、エルゴジェニック・エイドとしての効果も期待できる」
エルゴジェニック・エイドとは、スポーツ栄養学の分野において、パフォーマンス向上が期待される食品のこと。運動機能をサポートする食品や飲料、サプリメントなどがこれに当たる。