いくら言葉を知っていても、そのシーンに最適な言葉を選び出して発言するセンスがなければ、はっきり言って宝の持ち腐れ。言葉の専門家、山口謠司氏の新著『品がいい人は、言葉の選び方がうまい』からの抜粋で、状況に合わせた言葉の使い分けを解説していく。
使い分けに迷ってしまう
「なおざり」と「おざなり」
ひらがなで書くと、「なおざり」と「おざなり」は、言葉遊びのアナグラムのようにどっちがどっちか、区別が付きにくい言葉に見えますね。
それに加えて、このふたつの言葉は意味もほとんど同じなのです。
「なおざり」は、「深く心にとめないこと、本気でないこと、いい加減、かりそめ」という意味です。
これに対して、「おざなり」は、「いい加減であること、その場のがれのこと、間に合わせ」です。
辞書を引くとどちらも「いい加減」とありますから、どう使い分ければいいのか、なかなか迷うのではないかと思います。
そこで、両者の違いを漢字から紐解いてみましょう。