明日から2019年。大学入試を直前に控えた受験生のいる家庭は、緊張感の中で新年を迎えようとしているかもしれない。

元NHKアナウンサーの小論文講師で、発売早々、異例の大重版が続く現在6刷2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏が、小論文試験で、「凡ミス」で落とされないためのポイントをお伝えする。(構成:今野良介)

「その話しをした」は正しいか?

小論文の答案でよく見かける誤字・誤用表現があります。

致命的なミスではないものの、重なると確実に印象は悪くなるので、できるだけ減らしたいものです。

次のミスは、頻繁に見かける例です。

【誤】成功には努力が不可

【正】成功には努力が不可欠

*「欠かせない」という意味では、「不可欠」です。

 

【誤】適格に把握する

【誤】的確に把握する

*「適格」とは「資格を備えている」ということ。

 

【誤】その話をした

【正】その話をした

*名詞として使う場合は「話」に送り仮名はふらない。動詞として使う場合は、ふる。
→例:「そのことを話した」はOK。

 

【誤】安全性を追及すべきだ

【正】安全性を追求すべきだ

*この場合は「追求」です。「追い求める」という字が示すように、安全性、安さ、品質などを「追求」する場合につかいます。「追及」は、責任や罪などを問う場合に使います

 

【誤】人間的なかみを感じた

【正】人間的な温かみを感じた

*暖かい」は、「寒暖の差」「暖冬」等の言葉に示されるように気候の暖かさという文脈で使います。「温かい」は、「気温」「温水」などの言葉に示されるように、直接的に温かさを感じるような文脈と、「温情」のような気持ちの温かさという文脈で使われます。

 

【誤】めにも述べたように

【正】初めにも述べたように

*冒頭という意味で使うなら「初めにも」とします。

【誤】コンプライアンスを遵守すべきだ

【正】コンプライアンスを徹底すべきだ

*コンプライアンスは「法令遵守」という意味なので、「コンプライアンスを遵守」では、言葉がダブります。

こうした誤字や誤用表現を見つけるためには、声を出して読み上げる方法がおすすめです。黙読する時とは違った注意力が必要になり、誤字脱字などを見つけやすくなります。

本番の試験会場ではもちろん声を出すことはできませんが、口を動かすだけでも、効果はあります。

さて、減点対象になりうる代表的な誤用表現を、もう2つだけ紹介しましょう。