『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

「資格を取るか? 読書に没頭するか?」大学4年間でやることに悩む人への超すごい回答Photo: Adobe Stock

[質問]
 読書猿さんやスゴ本さんに出会って読書の楽しみに目覚めた、大学進学を控えた付属高校生です。大学で図書館に入り浸って気ままに読書をするか、公認会計士の資格を取るために勉強するかどうかを悩んでいます。大学は職業訓練の場ではないとはいえ、早いうちから勉強すれば資格を取得しやすくなり、その後のキャリアに繋がるのも現実だと考えています。ですが、一般的には公認会計士の勉強は2年以上の時間を有すると言われています。その間、充実した大学図書館を活用できないのは心苦しいです。大学で読書を思う存分出来ない損失と公認会計士の勉強をしないことによる社会に出た後の損失を測りかねています。自分で悩み抜かねばならないことだとは分かっていても、読書猿さんに聞いてみたいと思い、文章にしました。突き放して貰っても構いません。

両立できますよ。まずは「定量化」してみましょう。

[読書猿の回答]

 ではバッサリやります。その二者択一は大雑把な言葉で考える大雑把な思考が生んだ偽りのものです。

 悩み抜く暇があったら、悩む自分の「意識の高さ」に酔う暇があったら、物事を客観的に捉え考えるために定量化すべきです。

 たとえば1年はおよそ9000時間、一日の1/3(つまり毎日8時間)を学習に充てるとすると、1年で約3000時間、大学4年間では1万2000時間の学習時間となります。

 講義に加えて予習復習を含む1単位あたりの必要時間は45時間とされています。これに大学卒業に必要な最低単位数124単位をかけると5580時間となります。概算では大学に費やす時間を4年間で6000時間と見込んで良いでしょう。

 また公認会計士になるための必要学習時間は最低でも3000時間と言われています。

 このように考えると12000-6000-3000=3000時間が、つまり公認会計士になるために必要なのと同じだけの時間が、あなたには残ります。