九州のホームセンター「グッデイ」は、DXに成功した地方企業として、他社からも注目される存在だ。しかし同社には7年間の“暗黒期”があったという。暗黒期を抜け出すきっかけになったのは、ある2つのITサービスを使い始めたことだった。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
13年前にはメールもホームページもない会社だった
北部九州と山口県を中心に64店舗を展開するホームセンターのグッデイ。13年前にはメールもホームページもなかった同社は、今やDXに成功した地方企業として、他社から注目される存在にまでなった。
2月16日に発売された『なぜ九州のホームセンターが国内有数のDX企業になれたか』は、グッデイの柳瀬隆志社長との共著だ。この本は、「ITで会社を変えたい」と心に決めながら、何もできずに過ぎた7年間の暗黒期を振り返る柳瀬さんの独白から始まる。
グッデイ西福岡店での取材中、筆者はバックヤードで暗黒期に使用されていた在庫管理システムを見せてもらった。当時の在庫管理システムは、古いプログラミング言語で構築され、ウェブからアクセスできず、各店舗のバックヤードに1台だけ置かれたパソコンで確認するしかなかった。そのうえ非常に処理が重く、繁忙期にはパソコンの前にスタッフの行列ができていたそうだ。肝心の在庫検索は品番を入力して探す仕組みになっており、スタッフは、売れ筋商品の7桁の品番をそらで言えるようになっていたという。