2020年12月、税制改正大綱が発表されてからというもの、「近い将来、生前贈与がなくなるのではないか」と話題になり、相続を専門とする税理士法人である私たちのところにも、多くの問い合わせや取材が殺到しました。「生前贈与がなくなる」と聞いても、今一つピンと来ないかもしれませんし、または「うちはたいした財産がないから関係ないよ」と思われる人もいるでしょう。しかし多くの人たちにとって、この「生前贈与」改正の影響は大アリなのです。そこで今回は税理士法人レガシィの新刊『「生前贈与」のやってはいけない』(青春出版社)から、税制改正大綱にむけて駆け込み相続を考える時のポイントについて抜粋紹介します。
「相続税と贈与税を一体化する」の意味
「相続税や贈与税が大増税になるかもしれない!」
令和2年12月10日、令和3年度(2021年度)税制改正大綱が発表されると、相続を専門とする私たち税理士や会計事務所をはじめ、金融機関、資産家の方々の間に激震が走りました。
相続税と贈与税に関しては大綱の18~19ページで触れられており、そこには次のように書かれていました。
わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。(中略)諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。(令和3年度税制改正大綱より)
ややわかりにくい表現ですが、要するにこういうことです。