収束が見えないウクライナ危機
中国の対応は?
ウクライナ危機は、収束の予兆が見られない緊迫した状態が続いている。
ロシアがウクライナに対して軍事侵攻を開始してもうすぐ2週間になる。ロシア軍は軍事施設だけでなく、民間人が暮らすエリアにもミサイル攻撃を加える、核物質を扱う原子力発電所を制圧するなど、危険な行為を続けている。ロシア・ウクライナの間で停戦協議が2回開かれたが、プーチン大統領はロシア側の要求が満たされない限り攻撃を緩めるつもりはないという姿勢をあらわにしており、協議が解決の糸口につながる見込みはない。
3月2日、ウクライナ政府は2000人以上の民間人が死亡と発表した。筆者が本稿を執筆している3月7日午前(日本時間)時点で、150万人以上のウクライナ人が「難民」と化したとされる。米国や欧州、日本を含めた各国のロシアへの経済・金融制裁も続々と発表され、エネルギー価格の高騰を含め、ロシアだけでなく各国経済への打撃も懸念される。
国連総会では緊急特別会合が開かれ、193カ国の加盟国のうち、141カ国が賛成し、ロシア非難決議が採択された。法的拘束力はないが、ウクライナ侵攻によって、ロシアの国際的孤立が突出している現状が浮き彫りとなった。
一方、中国やインドなど35カ国が棄権した事実は、国際政治の複雑さと、この問題の解決が一筋縄にはいかない先行きを暗示している。