「空港でスマホ・Wi-Fi借りる」を世間の常識にした男、マック社員を辞めて挑んだ旅路台湾の空港におけるWi-Fi貸し出しブース 画像提供:テレコムスクエア(以下同)

携帯電話の黎明期から
レンタル事業に目をつけた男

 世界を旅するのに、いまやスマートフォンやWi-Fiルーター、プリペイドSIMカードのレンタルは欠かせない。だがかつては、これらを空港などで気軽に借りられず、現地調達や高額な通信料の支払いを余儀なくされていた時代があった。

 そんな頃から、時代に先駆けて携帯電話レンタルサービスを開始し、市場をリードしてきたのが、東京都千代田区に本社を置くテレコムスクエアだ。
    
 同社は1992年にレンタルサービスを開始。2000年には成田空港でも展開するなど、市場の開拓者として順調にビジネスを拡大してきた。

「正確には言えませんが、在庫を抱えて本格的にレンタルビジネスを始めたのは、ほぼ国内初だったはずです。少なくともNTTにお願いして(タウンページなどに)『携帯電話レンタル』という項目を作ってもらったのは当社です」

 同社の創業者であり、社長の吉竹雄次(60歳)はこう振り返る。

 昨今はコロナ禍の影響を受けているものの、従来は海外旅行する日本人向けのレンタルサービスを年間100万人以上に提供。外国人観光客向けのプリペイドSIMカードやAI(人工知能)自動翻訳機のレンタルサービスも年間10万人程度の利用があった。

 海外用レンタルWi-Fiルーター「Wi-Ho!(ワイホー)」は、世界200以上の国・地域に対応するなど広く普及。携帯電話などの法人向けレンタル事業の取引先は5万社を超える。

 まさに「携帯電話やWi-Fiを借りる」という文化の定着に一役買ってきた同社だが、創業者の吉竹は大手携帯キャリアなどの出身ではない。新卒入社したのは日本マクドナルドで、紆余曲折を経て市場のパイオニアになった。

 吉竹はいかにして会社を大きくしてきたのか。