美容やダイエットのためにお水をたっぷり飲む、という声もよく聞きますが、産業医として年間5万人の健康指導を指導する総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で「水こそ飲むタイミングが命」だと言います。驚きの減量効果を発揮する水を飲むタイミングについて詳しく解説します。(文・監修/総合内科専門医 益江毅)
なんと12週間でマイナス4.3キロ減!
驚きの「水」効果とは
水を飲むだけでダイエットに効果があったとする研究があります。
「英国のバーミンガム大学の研究者が1日に1.5リットルの水を飲むだけで、12週間後に平均4.3キロ体重が減少した」と医学誌「obesity」に発表しています。
しかし、代謝のことを言えば、1日に1.5リットルの水を飲んでもエネルギー消費はわずか50キロカロリー程度しか増えません。代謝の亢進が減量の理由とするなら、1.5リットルの水を毎日飲み続けても、脂肪は12週間で1キロも減らない計算となり、4キロ以上減量できたとするバーミンガム大学の研究結果をうまく説明できません。
この研究のポイントは、「水をとるタイミング」にあります。単に、1日に1.5リットルの水を飲んだだけではダイエットはできません。この実験は、肥満の成人84名を対象にしたものですが、ある特殊な条件下でのみ、ダイエットに効果があったと結論付けているのです。
その条件とは、「毎食30分前に500ミリリットルずつの水を飲む」というもの。3食のうち1食だけ食事の30分前に500ミリリットルの水を飲んだ場合では、ダイエットの効果が確認できませんでした。しかし、1日3回、食事の30分前に500ミリリットルの水を飲む、というルールを守った人たちは、4.3kgの体重減という結果が得られました。
このことから、食事と食事の間、食事中、食後に、少量ずつ頻回に飲んでも減量の効果は出ないことが想像できます。つまり、毎食30分前に500ミリリットルずつ水を飲むという方法を厳格に守らなければ効果が得られないのです。
毎食の食事の30分前に500ミリリットルの水を飲むことにより、血液が希釈され、食後血糖の上昇を抑制しているのではないかと推測されます。
食事の30分前に一定量水分をとることによって初めて、食後血糖値の上昇を抑える効果が得られます。これ以外の飲み方ではいくら多量の水を飲んでも決してダイエットはできないのです。
ダイエットのために水を飲むなら「タイミングが命」という理由はこのためです。