ダイエット中にパスタを選ぶなら「和風」or「カルボナーラ」?Photo:PIXTA

ダイエットのためには脂っこいものを避けてあっさりしたものを――。多くのダイエッターがこう思っているだろうが、科学的に考えるとこれはNG。産業医として年間5万人の健康指導をする総合内科専門医の益江毅医師は、著書『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』の中で「あっさり=太りにくい」は単なる思い込みだと語る。カロリーではなくインスリン分泌量に注目したダイエットは、無理なく大きな成果をあげられる。「血糖値を上げにくい」という観点から、カルボナーラと和風パスタ、どちらがダイエットに向いているか、解説しよう。(文・監修/総合内科専門医 益江 毅)

「脂っこいものは太る」は古い!

「油の摂取を控えるべき」という考え方は、1958年に世界7カ国の栄養摂取と心臓病による死亡率の関連を調べた「セブンカントリーズスタディ」という研究が背景にあります。アメリカ人に心臓病が多いのは脂肪の摂取量が多いから、という研究結果を受けて、アメリカ政府は1977年に「脂肪の摂取を控えるように」という指導方針を固め、食品業界でも「ローファット」の表示やローファット製品が爆発的に増えました。

 しかしその後も肥満人口は減らず、複数の研究が積み重ねられた結果、現在では「食品から摂取するコレステロールや脂質の量を控えても、心臓病の予防にも肥満の予防にも繋がらない」というエビデンスが新たな常識となっています。

 最新の栄養学では、「油の摂取を控えるべき」から「いい油を積極的にとろう」という考え方に変わってきています。オリーブオイルやナッツに含まれる油、また、魚に含まれる油は、循環器系の病気のリスクを減らすという研究結果が数多く集まっています。

 また、血糖値を上げる炭水化物(糖質)も、脂質と一緒にとることで、血糖値の上昇が抑えられるだけでなく、満腹感が長続きします。

 こうした新たな知見を取り入れていくと、これまでのダイエットの常識で見直さなければならないことも、たくさん見えてきます。例えば、パスタも「和風」という名前が付くとヘルシーなイメージがあります。「あっさり」=「太りにくい」と連想するのも、「カロリー制限はダイエットに効果あり」という思い込みが影響しています。

 しかし、パスタは「どんな調味料、具が含まれているか」で選びましょう。