小説に描いたことを実現するということ
井上:Tomy先生は、これからやってみたいことはありますか?
Tomy:最新刊の小説には「Tomyの相談室」という場所が描かれています。そこにはいろんな悩みを持った人がやってきて、Tomyが渡す言葉のカードをきっかけに、いい方向に変わっていくという8つのストーリーなんですけど、いずれその相談室を実際につくりたいと思っているんです。
井上:現実につくるんですか?
Tomy:いますぐというわけではありませんが、面白い試みだと思いません? 小さな雑居ビルに間借りして、1日数人だけ診るんです。
井上:自分が楽しいと感じられる範囲で無理せずやっていくわけですね。
僕もラジオでは、SNSが流行っている情報過多の社会の中で、少しだけ立ち止まれる場所・空間をつくりたいという思いがあります。
常に何かに追われ、ネットを開けばニュースがどんどん更新されていき、テレビも速報の字幕スーパーで尻を叩かれている気になる。
僕のラジオに関しては、速報もないですし、もしかしたら新しい情報もないかもしれない。ただ、ちょっと立ち止まって、ゆるいつながりに気づけるコミュニティーができるといいです。
家族でも、友だちでもない、顔も知らないかもしれない人同士が、ラジオ番組の空間に集まってくる。『ドラえもん』で、のび太君たちが集まる空き地がありますよね。あの空き地みたいなイメージです。
誰もが来たいときに部屋着のまま来ていただいて、ラクな気持ちでゆるくつながっては、また離れていく。そういう空間をつくりたいという思いが強いんです。
1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。29万フォロワー突破のTwitterが人気で、雑誌、テレビ・ラジオ番組にも出演。舌鋒鋭いオネエキャラで斬り捨てる人は斬り、悩める子羊は救うべく活動を続けている。『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』からはじまる「1秒シリーズ4冊」が人気で、最新刊で自身初の小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』も人気を博す。
Tomy:井上さんはラジオにチャレンジされるだけでなく、5月に初の著書(『伝わるチカラ』)を刊行しますね。
井上:出版という知らない分野に挑戦することで、変化と面白みを感じられたことが一番大きかったです。
当然分からないことだらけですから、最初はどういう人がつくっているんだろうという素朴な興味がありました。実際に本づくりに関わってみて、1冊1冊、こんなに多くの大人が集まって、神経を注いでいるのかと思い知らされ、今まで横になりながら本を読んでいたことを、思わず反省してしまったくらいです。
そういう意味では、いい経験をさせてもらったと思っています。
Tomy:井上さんの本には、私も帯の推薦文を書かせてもらいましたので、ぜひお読みいただきたいです。今後ともお役に立てることがあれば、ぜひお声がけください。
井上:こちらこそ、ぜひよろしくお願いします! 今日はありがとうございました。