米住宅市場が空前の活況を呈する中、昨年は多くの持ち家の評価額上昇分が所有者の賃金収入を上回った。米不動産サイト運営のジロー・グループが算出した2021年の住宅価格指数(米国の平均的な住宅の価格を推計したもの)は、32万1634ドル(約3820万円)となり、前年比で5万2667ドル(19.6%)上昇した。ジローが引用した米国勢調査局のデータによると、この額は米国の正規雇用労働者の税引前賃金の中央値(約5万ドル)を小幅ながら上回る。2000年以降を対象としたジローの分析によると、全米の平均的な住宅価格の値上がり幅が税引き前所得(インフレ調整済み)の中央値を上回ったのは今回が初めてだ。昨年は、住宅ローン金利の低さが買い手の需要を喚起した一方、市場に流通する物件数が異例の低水準だったことを背景に、住宅価格が大幅に高騰した。在宅勤務の普及で、高コストの住宅市場からより安価な市場に移住した世帯が、地元の購入者を締め出して住宅を取得するケースもあった。投資目的での一戸建て住宅購入も増加した。