長期投資のポイントは、
自分が投資していることを意識しないこと

 17年間の平均リターンは8%で、「中国株式」に次ぐ高さなので、成績がどん底の時もブラジルを信じて保有し続けることができれば、長期的には報われるわけです。

 しかし、2008年や2015年のように、大きく下げるような場面に出くわすと、投資慣れしていない人は怖くなり、ファンドを解約してしまうでしょう。

 解約が相次げば繰上償還(あらかじめ決まっていた信託期間が終了する前に、投資信託の運用が終了すること)のリスクも高まり、長期保有したくてもできなくなる恐れが生じてきます。

 同じことは「中国株式」にも当てはまります。

 加えて、精神衛生上も決して良くはありません。年がら年中、運用成績が上がったり下がったりを繰り返していたら、保有しているファンドのことが気になって気になって、下手をすれば本業が疎かになる恐れもあります。

 これに対して「世界株式」はどうかというと、それほど大きな浮き沈みは見られません。2004年から2020年までの17年間で、常に6位以上をキープしています。年によって大きく上昇したり、下落したりすることもなく、他の資産クラスに比べると、ランキングは安定して推移しています。

 長期投資のポイントは、自分が投資していることを意識しないことにあります。日々の値動きに一喜一憂しないから、心穏やかに続けることができるのです。

 それは、つみたてNISAで長期的な積立投資を実践していくうえでも重要なことです。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。
つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、
個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う複数のファンドアワードで連続受賞。
口座開設数16万人、預かり資産4700億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』他多数。