「中国人のマナーが良くなった」説は本当なのか?現地の人に聞いてみたPhoto:PIXTA

中国人のマナーに対する意識が急激に変わっている。中国人のマナーはコロナ禍の数年前から良くなっており、中国をよく知る日本人の中には「以前と比べて見違えるようだ」と褒める人が多い。かつては路上でのケンカが日常茶飯事で、訪日旅行の「爆買い」ブームのときにも批判されたが、中国人は自分たちのマナーや、マナー意識の変化について、どう思っているのだろうか。(ジャーナリスト 中島恵)

かつては日常茶飯事だったケンカ
今ではニュースになるほど珍しい!?

「何に驚いたかって、それはケンカ自体ではなくて、ケンカがニュースとして取り上げられたことですよ。昨年、『ユニバーサル・スタジオ・北京』で中国人同士のケンカがあったのですが、それが報道されたのを見たとき、中国も変わったものだと私は感慨深い気持ちになりました。昔の中国であれば、ケンカなんて毎日のこと。別にニュースでも何でもない。ささいなことかもしれませんが、こういうことがニュースになる社会になるとは……と改めて実感したのです」

 こう語るのは北京在住の50代の女性だ。私もネットで検索して、その女性が話していた“ニュース”の動画をチェックしてみた。

 あるアトラクションに並んでいた30代くらいの女性同士が「自分のほうが先だ」と言い張って順番でもめており、どちらもアトラクションの舞台上に乗って動こうとしない。周囲が下りるように説得しても頑として譲らず、結局、アトラクション自体が中止になってしまった。その顛末が報道されたのだ。

 ニュースを見た中国人のSNSには「中国人の素質(マナーや民度のこと)の低さが露呈するじゃないか。頼むからやめてくれ!」「情けない。本当に恥ずかしいよ!」「周りの人に迷惑だろう。さっさと下りてよ!」といったコメントが多かったが、中には「メンツの問題だから、二人とも絶対譲れないよね」などと擁護するようなコメントもあった。

 最近、中国のSNSでよく起きているように、“外野”のほうが盛り上がっている様子だったが、確かにこの北京の女性が驚いた通り、リアルなケンカ自体がかなり少なくなっているようだ。だからこそ、“ニュース”になったのだろう。