年々、日本人のモラルは低下しており、飲食店では「お客様は神様」という言葉を勘違いした“モンスター客”のマナー違反が目立つようになっているという。過去に飲食店経営の経験を持ち、現在は「NPO法人 日本サービスマナー協会」認定マナー講師を務める上田由佳子氏に、そんな飲食業界側の本音を聞いた。(清談社 岡田光雄)

客と店員は対等の関係
マナーとは“暗黙の了解”

飲食店では日本人客のマナーの悪さも目立っています
最近の中国人は食事マナーを熱心に勉強しており、ひと昔前とは大違いだという Photo:PIXTA

 大原則として、客と店員は「対価を支払う代わりにサービスを受ける」という“対等”な関係だ。しかし、そこに考えが及ばない客のマナー違反が後を絶たない。では、そもそもマナーとはどういうものなのだろうか。

「本来マナーとは、思いやりを行動にあらわすもので、お互いにその場を気持ち良く過ごすための配慮。“暗黙の了解”ともいわれています。これは個人的な見解ですが、最近は周りの人が不快に感じているかどうかを、考える人が少なくなったのかもしれません」(上田氏、以下同)

 それを象徴する事例として、今年7月、沖縄県・石垣島のラーメン店が、「日本人客お断り」という張り紙を掲げたことが話題になった。この店では、フライドポテトなどの飲食物を勝手に持ち込んだりする日本人客が後を絶たなかったという。

「前提として、店のルールがあるならそれを守るべきです。もし、店内への飲食物の持ち込みが明記されていない場合は店員さんに聞きましょう。お店側にしてみれば、店内によその食べ物を持ち込まれると、食中毒など衛生管理面のリスクが生じますし、お店の商品の注文機会も失われてしまいます」

 注文機会の損失とは、たとえばラーメン屋にフライドポテトを持ち込まなかった場合、空腹を満たすためにラーメンの他に「揚げ餃子」を頼んでいたかもしれない。しかし、フライドポテトを食べることで空腹感が満たされてしまい、店側にしてみれば揚げ餃子分の損になってしまう、というロジックだ。

 また、今年8月には、兵庫県西宮市の甲子園球場近くにある「大力食堂」という店で名物だった「超デカ盛りカツ丼」が、インスタ映え目的でやって来た客の食べ残しがひどく、販売停止になった。このカツ丼は、1966年の創業以来、「おなかをすかせた高校球児のために」と続けてきたメニューだったという。

 日本人自身もこうしたマナーの低下を感じているようで、ニフティニュースのアンケート(2016年)では、「昔よりマナーが悪い人が増えたと感じる?」という問いに、「とても感じる」「やや感じる」の合計が72%にものぼった。

 では、飲食店におけるマナー違反の事例をもう少し詳しく見ていこう。