解決の糸口が見えない停戦交渉
中国は「切り札」を持っているのか
ロシアがウクライナへの侵攻を開始して間もなく1カ月になる。両国間で停戦交渉は続いているものの、危機が収束する糸口は見いだせない。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウクライナ国外に逃れた人の数は3月19日時点で約339万人に上り、グランディー同所弁務官は20日、ロシアの侵攻に伴うウクライナ国内外での避難民が1000万人を超えたとツイッターで明らかにした。ウクライナ人口の約4人に1人が避難を強いられたことになる。
プーチン大統領は、西側はウクライナというカードを使ってロシアをつぶそうとしていると確信しているようだ。ウクライナ側が、同国の非軍事化やロシアのクリミア半島における主権承認といった要求をのまない限り、プーチンはキエフを「陥落」させるべく突き進むだろう。
ゼレンスキー大統領は西側諸国への「遊説」に連日奔走しているが、ウクライナと西側が一致団結しているようにも見えない。例えば、同大統領がドイツ連邦議会でビデオ演説した際、支援に謝意を示す一方、ドイツはロシアとの経済関係を深めて戦費を稼がせた上、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟などの要望をはぐらかし、ウクライナと欧州の間に「新たな壁」をつくることに加担してきたと批判している。米国も、ウクライナ側が要望するほどの軍事支援は同国に対して行っていない。
「孤軍奮闘」でロシアと戦うウクライナを、西側が一致団結して支えるという単純な構図ではない。西側は危機開始前よりは団結しているように映るが、言動を一致させるまでには至っていない。
このようにウクライナ情勢が泥沼に入り込めば入り込むほど、注目を集めるのが中国の動向であろう。ジョーカーを持っているのは中国、と臆測する関係者は少なくない。