日本に影響を及ぼした「陰陽五行論」
陰陽五行論が日本に伝わったのは飛鳥時代の500年代といわれています。それが日本で独自の発展を遂げ、陰陽道という学問になりました。その担い手たちが国家公認の陰陽師と呼ばれる人たちで、役小角(えんのおづぬ)や安倍晴明(あべのせいめい)らが有名です。
陰陽師は律令制における公的機関に所属して働いていた、いわば国家公務員です。彼らは星の動きから暦(こよみ)をつくり、吉凶を占い、神道の祭祀をすることなどが重要な役割でしたが、朝廷の役人や支配階級に対して「このときにこれをやるべきで、逆にこれをやってはいけない」というアドバイスを行う政治指南役でもありました。
その後、室町時代に入ると、陰陽道は民間にも広がり、民間の陰陽師が多数生まれました。
明治維新によって暦が太陰太陽暦から太陽暦に代わると、陰陽師の役割は急速に縮小してしまいましたが、元号や季節の節句、七五三、土用の丑の日、茶道や華道、相撲、東洋医学、日本料理、皇室の年中行事などにその影響が色濃く残っています。また、桃太郎、花咲か爺さん、金太郎といったお伽噺も、陰陽五行論をベースに語られているといいますから、陰陽五行論が、日本にいかに根付いているかがわかります。
映画や小説、マンガでは占い師や霊媒師のように描かれたりしますが、それは陰陽師の数ある役割のほんの一側面でしかなのです。霊媒師はかなり誇張された側面ですが。
(本原稿は、小池康仁著『「自分」の生き方 運命を変える東洋哲理2500年の教え』から一部抜粋・改変したものです)
一部上場企業に入社後、IT・戦略会計・人材育成分野のコンサルタントとして、主に上場企業を中心に10年間コンサルティング業務に従事。国内大手メーカーの教育機関に転職後、国内外の人材育成業務に携わる。その後、独立起業し、現在は数十社の会社を統括する経営者であり、経営アドバイザーとしても活躍中。また東洋哲理思想の帝王学・陰陽五行論を経営に活かす第一人者として、現在全国で2000名以上に指導を行っている。