IT・戦略会計・人材育成分野のコンサルタントとしてビジネスの第一線で活躍してきた著者の小池康仁氏は、41歳で阿闍梨(あじゃり、密教で修業した僧侶)への道に入り、現在は経営者・経営アドバイザリーとしても活動しながら、自身の体験をもとにした帝王学と陰陽五行論を全国で説いて回っています。
本書『「自分」の生き方――運命を変える東洋哲理2500年の教え』は、師と若きビジネスパーソンの会話形式というユニークな構成を取りながら、古来より口伝されてきた陰陽五行論の神髄を平易に伝えてくれます。
同書の抜粋構成による好評連載第2回では、この世の中は陰(マイナス)と陽(プラス)がバランスを取り合って成り立っている「等価交換法則」について紹介します。
人生も陰(マイナス)と陽(プラス)で
バランスが取れている
「人生を変える公式」は、「陰陽五行論」をベースとして発展させたものです。
陰陽五行論は、およそ2500年ほど前、古代中国の春秋戦国時代(紀元前770年~同221年)に発祥した陰陽論と五行論が結びついて生まれたもので、国政や軍略に使われてきた歴史があります。
陰陽論とは、この世は陰と陽の二つから成り立っているという考え方で、対になるのは、朝と夜、天と地、男と女、太陽と月といった具体的なものから、動と静、表と裏といった概念などを含み、互いに影響しながら、ときに補い合い、ときに調和してバランスを取っているというものです。
一方の五行論とは、万物は木・火・土・金・水という五種類の元素からできており、それらが互いに影響をおよぼしながら世の中を動かしているという考え方です。
誰しも日々、今日は調子がいいな、あまりよくないな、といったバイオリズムを感じることがあるでしょう。このバイオリズムと陰陽論は似ています。誰にでもよいときがあれば、落ち込むときもあるように、この世の中は陰(マイナス)と陽(プラス)がバランスを取り合って成り立っているのです。これを「陰陽の等価交換の法則」といいます。
この法則の大切なところは、日々コツコツとマイナス、つまり代償を払って生きていく認識を持つということです。マイナスの分だけ、必ずプラスがやってくるのです。
青年:代償を払うとはどういうことですか?
康仁:そうですね、日々マイナスの出来事を積み重ねていくイメージでしょうか。マイナスといっても重く考えず、たとえば、電車の中でお年寄りに席を譲る、困っている人がいたら助けてあげる、大切な人に心ばかりの贈り物を渡すなど、些細なことで構わないのです。目の前の人にいかに喜んでもらえるかという視点で、目の前に現れるあらゆる人に接することです。
これを「代償の先払い」と呼び、陰陽五行論では、率先してマイナスを引き受けよ、としています。
そうして日々目の前にいる人のために生きる、お尽くしするといった行動を積み上げていくことで、たくさんの人に感謝されるようになり、「あなたの傍にいたい」「この人に関わりたい」と人が集まってくるようになる。こうして魅力ある人になると、お金や愛情、人脈、チャンスといった、誰もが欲しがるプラスが勝手に引き寄せられてくるのです。
青年:先に人のために尽くす、ということですね。
康仁:はい。また、仁義礼智信の「五徳」と木火土金水の「五行」はつながっており、ごく簡単にまとめるとこうなります。
仁徳=木性 守備本能「目の前の人にお仕えしなさい」
義徳=金性 攻撃本能「目の前の課題を一所懸命やり切りなさい」
礼徳=火性 伝達本能「想いを伝え、分かち合いなさい」
智徳=水性 習得本能「学び続けなさい」
信徳=土性 引力本能 上の四つをやりきることで、信徳は自ずと得られ、お金、人脈、愛情、チャンスが引き寄せられる
これら五つを合わせて五徳本能といい、この五行、五徳本能という概念を理解して人生に活かしていくことが「人生を変える公式」の秘密になります。
青年:これはわかりやすいですね。その先をもっと知りたくなってきました!